あおぞら。

ただのサラリーマンの日常です。

ニューヨークの空

another skyという番組がある。

もう1つの故郷という意味らしい。著名人が出てきては、自分の思い出の海外の土地を巡って苦労話や転機になったことを話す番組だ。

先日ブレーレイの録画番組を整理していて、過去にたまたま録画されていたanother skyを見た。

現在のanother skyのセットを作ったデザイナー、佐藤オオキの話だ。

(放送は2018年2月16日)


佐藤オオキは24歳の時、これからの人生何をやろうか模索中の中、卒業旅行でミラノに来ていた。
そこでたまたま訪れたデザインの展示会に衝撃を受け、『俺がやるのはこれだ!』と思い立つとそのまま何の知識もないのにデザイン事務所『nendo』を立ち上げた。
それから紆余曲折あり、何度も事務所が潰れそうな危機に直面したが、その度に危機を乗り越えて世界的なデザイナーとなった。

まず驚くのはその決断の速さ。
旅行で来ていた異国の地で衝撃を受けたからといって、何も知らない分野でいきなり事務所なんか立ち上げるだろうか?
少なくとも僕には無理だ。

そしてそのストイックさ。
デザイン以外のことで悩みたくないので、同じ服を何着も用意し、ご飯はいつも同じ店の同じ席で同じものを食べる。
デザイン以外の出来る限りのものをルーティン化してるのだ。

これは世界的に成功している人の中の見られる傾向として非常に有名だ。
例えばスティーブ・ジョブズ
彼も同じ服を何着も用意している。

人間は決断するときに脳のエネルギーを大きく消費する。
朝起きてまず歯を磨くのか顔を洗うのか。朝御飯は何を食べるのか。服はどれを着るのか。腕時計はどれにするのか。…
こんなことを考えているうちに、脳はエネルギーをどんどん消費していき、会社に着く頃には脳は疲れ果ててしまっているということだ。


社会人になると自分の自由になる時間は激減する。結婚してからは余計に、だ。
自分がやりたいこと、やらなければならないことをやるための時間を作るためにも、生活の一部をルーティン化して迷う暇なく効率的に動くことは非常に有効な手段だと思う。

ただ、佐藤オオキが朝に寝癖をなおすのが面倒くさいので、髪を永久脱毛してカツラを一種類だけ買っておきたいと言っていたのはさすがに笑った。笑

 

好きなデザインで食べていく、生きていくんだという覚悟をもって、本当にかっこいいなと思うし、いい刺激をもらえる。


そんな感じで、楽しく拝見させてもらったのだが、見終わったときにふと僕にとってのanother skyとはどこだろうかと考えた。
僕はもう27歳になので、これまでに何ヵ国か海外にも行っているが、その中で一番自分の人生に影響を与えたのはどこか。

僕は迷うことなく、すぐに思いついた。

昨年行ったニューヨークだ。

大きな夢を持って世界中から若者がやってくるNYは活気に満ち溢れていた。
待ち行く人たちは皆、野心と希望に満ち溢れ、ギラギラしているように見えた。


普段の僕の生活は、平日の5日間が会社への往復で終わり、束の間の週末をはさんでまた平日がやってくる。
こんな毎日を送る自分を客観的に見て
「檻の中の小鳥だな」
と思っていた。

週末の少しの時間だけ放し飼いにしてもらえて、また檻の中へ帰る。
檻の中は窮屈で自由がないが、檻の中にいる限りは食べるものに困ることはない。
でも檻の中の鳥は、狭い檻の中からまだ見ぬ遠い空に憧れを抱くものだ。

そんな僕にとってNYはまさに檻の中から憧れを持って眺めている「遠い空」に思えた。